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【bonjour records recommend】#28

2026.11.03

bonjour recordsによるMUSICレコメンドTOP5

ジャンル、国籍を問わず良いものをセレクトし発信するbonjour recordsより、レコードからレコメンド商品を選定。

レコードカテゴリーは新譜・旧譜問わずリイシュー盤まで、幅広い品揃えの中からおすすめの一枚をTOP5形式でご紹介。

MUSIC

👑 No.1
V.A.
BCR10 - Ten Years of Big Crown Records
¥6,930(税込)


2016年にLeon Michels(レオン・マイケルズ)とDanny Akalepse(ダニー・アカレプス)によって設立されたブルックリンのインディペンデントレーベルBig Crown Recordsの10周年を記念した記念碑的なコンピ作品。

今作は回顧録と現状報告の中間のような作品とされており、過去のカタログから厳選された名曲と最新作からの力強い楽曲がミックスされている。Brainstory(ブレインストーリー)、Derya Yildirim & Grup Simsek(デリヤ・ユルドゥルム・グループ・シムセック)、El Michels Affair(エル・ミシェルズ・アフェア)、Les Imprimés(レ・ザンプリメ)、Thee Heart Tones(ジー・ハート・トーンズ)らなどによる選りすぐりのトラックを25曲収録したダブルLP仕様。過去と現在を同じ時間軸に置くことでBig Crown Recordsがこれまでどんな音楽を信じてきたかということを示す、彼らの意思表示であり思想を説明するためのコンピレーション作品といえる。

👑 No.2
Dexter Story
T'som
¥6,160(税込)


LAのスピリチュアルジャズシーンの旗手、プロデューサー、マルチインストゥルメンタリスト、コンポーザー、ソングライター、Dexter Story(デクスター・ストーリー)によるアルバム作品。

タイトルにある「T'som(ソーム)」とはアフリカの角地域に根付く禁欲、内省、共同体への献身を基盤とする、アフロ・セム語とアラビア語の精神的な断食の習慣に由来しているという。これは単なるテーマではなく、このアルバムの制作過程における姿勢であり、削ること、待つこと、耳を澄ますことによって、内側にあるものを見つけるための方法論としている。エリトリア、エチオピア、スーダン、ソマリア、そしてディアスポラにおける長年のフィールドワークと研究、アーカイヴ調査によって長い時間をかけて集めた記憶や音を、ようやく一つの形にしたアルバムである。その一つの大きな音楽的地図をCarlos Nino(カルロス・ニーニョ)との共同制作を軸に、Georgia Anne Muldrow(ジョージア・アン・マルドロー)、Sudan Archives(スーダン・アーカイヴス)、Kamasi Washington(カマシ・ワシントン)、Jimetta Rose(ジメッタ・ローズ)、Kibrom Birhane(キブロム・ビルハネ)らの異なる場所からの参加ミュージシャンが名を連ね、共同体的な形を成すことでその世界の奥行きを作っている。

👑 No.3
DJ Spanish Fly
Cadillac Warning
¥8,800(税込)


メンフィスラップの礎を築いた人物の一人、DJ Spanish Fly(DJスパニッシュ・フライ)の1990年代に録音されながら長らく未発表だった音源を中心にまとめた作品。

Three 6 Mafia(スリー・シックス・マフィア)以前からローカルシーンで独自のサウンドを築き上げた、メンフィスサウンドのパイオニアである彼。後にメンフィスラップを特徴づけることになるダークな雰囲気は、歪んだ808、反復する不気味なシンセ、重く生々しい重低音、ホームレコーディング機器による粗削りなテクスチャー、それらのローファイな空気感がクリーピーで催眠的、中毒性の高いグルーヴを形成している。彼が主に自身のベッドルームで録音された自家製ミックステープに収録されたそれらは、タイトルにもある愛車の78年製Cadillac DeVilleのトランクに積まれ、ガソリンスタンド、カレッジキャンパス、路上、まるで移動販売かの如く、どこでも彼自身によって売られた。そしてそれらはのちのDJ Paul(DJポール)、Juicy J(ジューシー・J)、 DJ Squeeky(DJスクイーキー)から後年のAsap Rocky(エイサップ・ロッキー)、シンセコレクター兼プロデューサーのLegowelt(レゴウェルト)、ベルリンのレーベルPANにまで波及したことは、限定的なアングラシーンの垣根を超えた好例でもある。今作では1990年代の録音を収録し、メンフィスのストリートライフの現実から生まれた新しい音の言語を再発見することのできる重要なアーカイヴ集ともいえる。

👑 No.4
Adrian Younge Ali Shaheed Muhammad
The Midnight Hour: Lost Tapes JID028
¥6,380(税込)


ロサンゼルス出身のプロデューサー、作曲家、マルチインストゥルメンタリスト、Adrian Younge(エイドリアン・ヤング)とA Tribe Called Quest(ア・トライブ・コールド・クエスト)のメンバーとして知られ、DJ、レコードプロデューサー、ラッパー、ベースギタリストのAli Shaheed Muhammad(アリ・シャヒード・ムハンマド)によるアルバム。

今作は2018年に発表されたThe Midnight Hourのセルフタイトル作に続く2作目として、2020年に制作されていたセッションでありながら、その後、Jazz Is Deadの活動へと二人の軸足が移ったことで未完成のまま棚上げされていたアルバムをく掘り起こしたものである。テープ録音、ライブリズムセクション、フルオーケストラという方法論がとられた2018年の前作から引き続いた世界観の延長線上で、アコースティック・ピアノ、ヴィブラフォン、エレクトリックシタール、パーカッションというYoungeの多彩な楽器群に、Muhammadのベース、Malachi Morehead(マラチ・モアヘッド)のドラム、そしてLinear Labs Orchestra(リニア・ラブス・スタジオ)が加わり、壮大ながらグルーヴを感じる構成。ヒップホップのプロデューサーが音をレイヤーとして組み上げる感覚と、ジャズコンポーザーがアンサンブルを設計する感覚の中間に位置し、それはまるで映画音楽のようなソウルであると標榜する。

👑 No.5
Jim Jones
THE LANDLORD
¥9,130(税込)


ハーレム出身、伝説的グループDipset(ディップセット)のメンバーとして知られ、30年近くニューヨークのヒップホップシーン最前線で活動を続けるJim Jones(ジム・ジョーンズ)によるソロ作品。

数ヶ月に及ぶIFC Factoryマルチメディアスペースを巡る現実の法廷闘争から生まれた今作は、そのプレッシャーを壮大なものへと昇華させている。不動産投資やビジネス、家族、仲間との関係を中心としたリリックでは「築き、守り、継承する」というテーマへと重心を移し、年齢を重ねた彼ならではの円熟味を感じさせる。ビートはトラップ以降の低域処理や空間演出を自然に取り入れ、ブーンバップの伝統を踏まえつつ重厚なドラムとダークなソウルサンプルを軸に構成されたクラシックとモダンの境目に位置。また客演陣にはFabolous(ファボラス)、Dave East(デイヴ・イースト)、Fetty Wap(フェティ・ワップ)、Maino(マイノ)、Yung Bleu(ヤング・ブルー)、Kodie Shane(コディ・シェーン)らが名を連ねながら、あくまで作品の彩りとしての役割に徹しているのも◎。ストリートで培ったノウレッジ、渋い語り口、彼の「成功者」としてのキャリアの成熟期に到達したことを示す堅実な作品。