「ADAM ET ROPÉ」が初のコラボ。 スポーツブランド「Speedo」との、新しいものづくり。 ADAM ET ROPÉ デザイナー / 佐々木佳菜
2023.04.14
『ADAM ET ROPÉ』が新しくコラボしたのは、あの『Speedo(スピード)』!そのクリエーションと魅力について、デザイナーに深掘りしました。
次なるコラボはスイムウエアの『Speedo』! リアルなユーティリティとファッション性を融合させた、そのアイテムとは?
数々の名ブランドと共に、話題のコラボレーションアイテムを創り出してきた『ADAM ET ROPÉ』が今季コラボしたのは、あの世界的ブランド『Speedo』でした。スイムウエアとして名高いブランドと、トレンドを程よく押さえたモードなアイテムを得意とする『ADAM ET ROPÉ』が創る、次なるスタイルとは? ブランドのデザイナー・佐々木佳菜に、そのクリエーションについて聞きました。
水辺でも、タウンでも使える新しいウエアを。実生活での体験から生まれた、機能性とファッション性が融合したアイテム。
ーーーー『ADAM ET ROPÉ』が『Speedo』とコラボレーションすることになった、そのきっかけは何でしょうか?
「去年の夏から、少しずつレジャー施設などの規制も緩和されてきて、子どもと一緒に水辺で遊ぶ機会が増えてきたんです。普通の服では濡れてしまって遊べないし、スソをまくってもすぐにズリ落ちてしまって動きにくい。日焼けも気になるのでラッシュガードを買おうかなと思ったのですが、スポーツブランドのものはピタッとしていて、とてもファッションとして着られる感じではなく、わざわざ買っても普段使いできないのでもったいない…。そんな不満を解消してくれるアイテムの必要性を、強く感じていました(佐々木)」。
「折しも、去年の夏はスイムウエアをファッショナブルに打ち出しているところも増えていて。でも『ADAM ET ROPÉ』ではラインナップに入っていなかったので、絶対に2023年の夏は水着やラッシュガードをやりましょう、とブランドのMDにも伝えていました。また、やるからには機能の面でも充実しているものをつくりたい。そのために、やはりきちんとしたノウハウを持つ、最高のスイムウエアブランドとコラボレーションしたいと考えたのです。
そして、まず最初に思い浮かんだブランドが『Speedo』でした。ウォータースポーツに詳しくない私でも一番に思いつくくらい、絶大な知名度がありますし、近年はいわゆる競技用水着だけではなくファッション性の高いアイテムも発表していて、『ADAM ET ROPÉ』としても注目していたブランドだったのです。ご縁があって運良く話が進んで、『Speedo』とコラボレーションできることになり、約一年ほど前からプロジェクトがスタートしました」。
今回のラインナップは5型。ひとつひとつ、こだわりと技術がぎゅっと詰まった逸品に仕上がって。
ーーーー今回のコラボアイテムを製作するにあたって、苦労した点などはありますか?
「デザインやコンセプトも含めて、一からコラボレーションできることになったのですが、やはりスイムウエアというのはすごく特殊で。素材はもちろん、仕様や付属なども普通のアパレルとはぜんぜん違うので、驚くことも多かったです。また、『Speedo』は富山県に開発拠点があり、アスリートのための研究機関も兼ねているそう。そちらのメンバーの方ともリモートでミーティングを重ねたのですが、学ぶことが非常にたくさんありました(佐々木)」。
「機能性を重視するスイムウエアならではの、普通のアパレルでは実現できないような特殊な仕様がたくさんあって。それが、独自の圧着技術などによって実現してしまうんです!ZIPの引き手などの付属品も、あまり見たことがないような珍しいものがありますし、さらにコスト計算の仕方も、普通の縫製ラインとは全く違うというのも驚きでした。
このように、つくりたい形と技術的な部分をすりあわせながら、ひとつずつ形にしていったのです」。
通常のアパレルの生産ラインとは大きく異なる、スイムウエアの製造工程。その細やかな技術に驚嘆。
ーーーーひとつひとつの作品について、こだわりの部分を教えて下さい。
「まず水着ですが、最初はやりたいことを全て盛り込んだうえで、できることとできないことを確かめながらつくりました。生地には伸縮性に優れたリサイクルナイロン糸を使用していて、環境にも配慮しています。
トップスのいちばんのポイントは肩の部分です。肩に入ったゴムは、どんなに動いてもねじれたりズレたりしないように、ぴっちりと表地に包まれている仕様で、これはやはり技術の高いスイムウエアブランドだから実現できること。それでも、『Speedo』でもここまで太い肩ベルトの水着はつくったことがないということで、最初は「仕様面で難しい」と言われてしまいましたが、試行錯誤の末に実現したので、特別な思い入れがあります(佐々木)」。
「また、取り外しのできる胸パッドは、内側にあるスリットから入れる仕様なのですが、スリット部分はヒートカットで余分な厚みを出さずに仕上げています。これも『Speedo』ならではのノウハウがなせる技で、縫い目などが体に当たることもなく、軽さも追究できて、見た目にも凹凸がなくすっきりキレイなんです。
さらにアンダーバストにはゴムが入っていて、大きく動いてもズレ上がりにくくなっています。さらに、丈感もこだわったポイントで、あまり丈を短くぜずにお腹を隠せて、ハイウエストのボトムと合わせたときにギリギリ肌がチラ見えするかな?というくらいに設定。露出が多くなくて程よいので、気軽に着られるようになっています」。
一番欲しかったラッシュガード。水辺だけで終わらない、タウンでも羽織れるおしゃれなデザインに、テクノロジーが満載!
『ADAM ET ROPÉ』ならでは!楽でおしゃれなロンパースは、どうしても欲しかったアイテム。
「一枚で楽におしゃれができるロンパースは個人的に大好きで、どうしても欲しかったアイテムなんです。ただ、水辺で使う場合はスソの長さが問題になりますよね。なので、スソはドローストリングスできゅっと絞って、まくりあげても落ちてこないようにしました。素材はブルゾンと同じ、「LZR CORDURⓇ/ レーザー・コーデュラ」。はっ水性、ストレッチ性、UVプロテクト機能で、じゃぶじゃぶ池でも、思いっきり遊べます!(佐々木)」。
絶妙なブリムの幅で、実用性の高い高機能ハットが完成。ありそうでなかった、水陸両用!
メンズのセットアップも登場! 『スイムウエア』×『モード』をコンセプトに、夏のアクティビティに対応する最強のコラボ。
タウンユースでも、スポーツのシーンでも使える、メンズのセットアップも登場。『Speedo』の技術と、『ADAM ET ROPÉ』のデザインが、ここでも融合しています。ウィメンズの水着と同じように、環境配慮型のリサイクル糸を使用した素材。単品でもスタイリッシュに着られるボックス型のシルエットは、モードな雰囲気もあってスタイリングのアクセントになります。 スポーティなショーツは、生地の分量をたっぷりと取った迫力あるワイドなシルエット。ドレープ性ある素材感を生かした広い裾幅で、体型を選ばずに着こなせます。リラックスした雰囲気でありながら、大人の雰囲気もあり、上品さも兼ね備えた逸品です。インナーもついているので、水に入った時にもアクティブに動けます。
PROFILE
『ADAM ET ROPÉ』デザイナー 佐々木佳菜
専門学校を卒業後、数社のメーカーに勤務した後、JUNに入社。“EYE”byOptitudeの企画を担当。
その後、ADAM ET ROPÉ FEMMEの企画を担当し現在に至る。現在は、2児の母として育児と仕事の両立に奮闘中。
TEXT: WORDS
PHOTO: Soichi Ishida