【small talk】Toward a future vintage.
2023.06.21
「いつか古着になるまで」
small talkは、「M(ムウ)」が発信するちょっとしたお話。例えばブランドの物語や物づくりの背景や関わる人々、私たちの身近なことから広く視野を広げていけるようにーー。
膝が出るようなぼろぼろのダメージデニムに、ボディラインにフィットするスキニーデニム、ジャストウエストのデニムをルーズに履いてみたり……。これまでたくさんのデニムを履いてきたけれど、そういえば少しの間は離れていたのかも?でも最近はなんだか、ライズの浅いデニムをヒップハングで履きたい気分。リジットデニムもやっぱり諦めきれない。そんな気持ちを胸に、ドクターデニムホンザワ氏(以下、本澤さん)を尋ねた。
本澤さんがデニムと出会ったのは、日本でアイビールックが流行りアメカジブームがやってきた頃。糸や生地から国内で生産するデニムの工場がたくさんあった、いわば全盛期だ。「EDWIN」に就職して国産デニムの現場を渡り歩きながら10年学び、さらに「リーバイ ストラウス ジャパン」で見識を深めた、まさにデニムのプロ。そんな彼と一緒に、今履きたいデニムを作ることになった。
「大切なのは履き心地やシルエット、そして生地、最後に加工。体に合うパターンで作られていれば、ストレッチが効いていない綿100%でも窮屈じゃないし、履き続けるほどに体に馴染んでいくんです。あとは糸にもこだわって烏城物産社製UJコアー糸を採用しました。ポリエステルの芯にスーピマコットンを巻いた糸を使えば光って見えなくて、何より丈夫。デニムの良さは丈夫なところだからね」と本澤さん。
シルエットは今の気分に合わせてライズを浅く、ボタンやリベット、ファスナーはYKKスナップファスナー社製のものを選んだ。あえて加工はやりすぎず、素材の良さを生かした。履けば履くほど、洗えば洗うほどに育つデニム。長く履き続けて変化を楽しんでいきたい。これってもしかして、かなりサステナブルなのでは?
「デニムは洗うのに水を使うからエコじゃないという人もいるけれど、きちんとした素材を使えば長く履ける丈夫なものができる。新品で買っても、いつか古着になるまで履き続けられる。世代や時代を超えて愛せるのが、デニムなんですよ」という本澤さんの話に納得。自分が育てた一着が、いつか古着として誰かの手に渡るかもしれない。未来に続いていくデニムを履いていると思うと、余計に愛着が湧いてくる。
Edited by FIUME Inc.